高い車両耐久性が重要である理由

現在の自動車業界は、多くの新しいトレンドやイノベーションが生まれており、非常に活況を呈しています。だからといって、標準的なエンジニアリング領域を忘れてよいということではありません。その一つが車両の耐久性です。
車両の耐久性は、20年前と変わらず、現在も必要とされています。異なっている点は、新しいテクノロジーを利用して、耐久性評価を改善できるようになったことです。この耐久性領域はデジタライゼーションを取り入れることで、業界の他の領域とともに成長してきました。これにより、人工知能 (AI) を活用したり、設計サイクルの早い段階で正確な情報を迅速に入手したり、電動化の課題に対処したりできるようになります。
それでも車両の耐久性が重要であるということに納得できない場合は、以下に示す5つの主な理由を確認してください。
信頼性の高い車両を求める消費者
あなたにとって良い自動車とはどのようなものですか?洗練されたデザインの自動車ですか?最新の高度なテクノロジーが搭載されている自動車ですか?
Googleで調べてみると、「良い自動車とは信頼できる自動車のこと」という単純な答えが返ってきます。私は、この有名な検索エンジンで、パターンを変えていくつかの質問をしてみました。「最高の自動車」と「トップ10の自動車」を知りたいと思ったのです。この検索では、常に「最も信頼性の高い10台の自動車」または「最も耐久性の高い自動車」のリストが検索結果として表示されました。
自動車に関する「良い」という形容詞が、「信頼性が高い」や「耐久性が高い」という表現に変化するのは、偶然ではありません。Googleの検索ボットは、ユーザーの検索意図を特定するように訓練されています。検索ボットは、最も信頼性の高い自動車を検索したいというユーザーの意図を理解して、こうした検索結果を返します。
さまざまな企業、消費者グループ、専門の報道機関は、毎年のようにその年のトップ自動車のランキングとレビューを公開しています。米国の Consumer Reports 、英国の JD Powerと Motorway 、ドイツの Autokauf は、故障や事故の頻度に基づいて自動車の価値を評価していますが、このほかにも数多くの企業、Webサイト、雑誌などが同様の評価を行っています。その判断基準や方法は異なるかもしれませんが、これらの意見や調査結果は、消費者や自動車の購入を検討している人に大きな影響を与えます。
報告されている信頼性インシデントには、金属疲労によるコンポーネントの故障や電気機械部品の故障など、さまざまなものがあります。このケーススタディでは、日産がテストベースの車両耐久性エンジニアリングにおいて、Simcenterエンドツーエンド・ソリューションを使用して高い品質基準を確保し、ブランド価値を向上させていることが記載されています。


「電子部品のテストが増えて、機械部品のテストは減っています。シーメンスとのコラボレーションは、この変化に適応し、こうした新しいコンポーネントを検証するために不可欠です。」
NTCE-S、機能・耐久性部門、パワートレイン耐久性試験エンジニア、Arturo Barreu氏
ハイブリッド車と電気自動車にも求められる高い耐久性と信頼性
新しいタイプの車両は、もはや車両の欠陥や修理に寛容なアーリー・アダプター向けの車両ではなくなっています。こうした車両が主流になるにつれて、消費者の期待に応える信頼性を確保することが重要になってきます。しかし、ハイブリッド車や電気自動車の耐久性エンジニアリングは、いくつかの新たな課題に直面しています。たとえば、バッテリーの耐久性、相反する性能要件、普及する軽量素材への対処などの課題があります。
メーカーは、走行距離を伸ばすために使用した軽量コンポーネントが、車の耐久性を損なうことがないかどうかを評価する必要があります。また、車両の負荷分散に影響を与えるバッテリーの重量にも対処する必要があります。そこで、シーメンスのエンジニアはSimcenterのソリューションを使用して、電気自動車「Simrod」の耐久性能をテスト・コースでテストすることにしました。

車両の耐久性能に影響する「軽量化」というトレンド
航続距離を伸ばすためにも、燃料消費量を削減するためにも、軽量な設計と材料が必要になります。しかし、そのために部品やコンポーネントの寿命を犠牲にしてはいけません。Simcenterの有限要素法による複合材料の解析機能を、新しい耐久性ソルバー・アプローチと組み合わせて使用すれば、進行性損傷の影響を正しく解析できるようになります。振幅が変化する複数の荷重に対して優れた性能を発揮する、損傷に強い軽量設計を開発することができます。この実績あるアプローチは、 短繊維および長繊維強化プラスチック と接着構造にも適用できます。

世界の中古車市場は堅調に推移
世界の中古車市場規模は、2020年には1兆2,000億米ドルでしたが、2027年には1兆5,000億米ドルを超えると予測されています。つまり、7年間にわたって毎年約3.2%ずつ成長していくということです。現在は消費主義の時代ですが、こうした時代においても自動車というのは、2人目、3人目、4人目の買い手が簡単に見つかるという製品です。現在の自動車は20万キロメートル以上走行できるように設計されていますが、一部のメーカーやモデルはさらに高い目標を目指しています。
かつてないほど効率的な最新の耐久性エンジニアリング技術
現在のエンジニアは、AI技術を活用して疲労予測に取り組んでいます。包括的な車両耐久性エンジニアリング・アプローチでシミュレーションとテストを組み合わせることにより、品質の高い車両の開発が可能になります。耐久性エンジニアは、実際の負荷データが入力されたデジタルツインを使用することにより、さまざまな性能特性を考慮しながら、妥協することなく目標を達成することができます。
Simcenterのソリューションを使用すれば、路面荷重データの取得、荷重データ・マイニング、設計の最適化、仮想製品検証、残存耐用年数の定量化などにより、さまざまな問題にバランスよく、低コストで早期にすばやく解決することができます。これらのソリューションにより、すべての設計段階で、軽量で強度が高く耐久性に優れた車両を設計するための正しい方法が見つかります。
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