業界

シミュレーションでイノベーション: 医療機器設計で新境地を開く

執筆者 AnnaMary Gualdoni

医療機器業界は、イノベーションを起こし、新製品を迅速に市場投入するというプレッシャーと絶えず向き合っています。同時に、医療機器はより複雑化しており、治療はますます患者ごとにパーソナライズ化され、規制要件はこれまで以上に厳しくなっています。こうした課題に対処するには革新的なソリューションが必要であり、その鍵となるのがシミュレーション技術です。

シミュレーションでコストを削減

物理プロトタイプの数を減らし、製品の市場投入期間を短縮できる世界を想像してみてください。まさにこれを実現するのがシミュレーションです。機器を仮想レプリカとして再現したデジタルツインを作成することで、材料費や人件費を大幅に削減できます。このデジタルツインは、コンプライアンス遵守を証明する確かなエビデンスを提供し、設計の初期段階から市販後調査にいたるあらゆる段階を強化します。簡単に言えば、厳格な規制基準を遵守しながら、ライフサイクル全体を通じて機器がシームレスに動作することをデジタルツインで保証します。

デジタル・シミュレーションとテストを通じて製品品質と患者の安全性を確保

最新のデジタル・シミュレーションとテストを使えば、製品品質と患者の安全性を確保することは難しくありません。また、応力解析や疲労解析など、医療機器試験を強化するとともに、設計プロセスの早い段階から欠陥を特定するのに役立ちます。先取的なこのアプローチは、医療機器の信頼性と患者の安全性を強化するだけでなく、コストのかかるリコールのリスクも最小限に抑え、品質を重視する業界の取り組みとも足並みを揃えるものです。

デジタル・シミュレーションは、機械設計、流体力学、材料科学といったエンジニアリング領域を統合することにより、最新機器の複雑さに対処します。こうした領域横断的な取り組みにより、すべてのコンポーネントがスムーズに機能し、厳しい規制基準を確実に満たします。シーメンスのSimcenterポートフォリオは、包括的な性能エンジニアリング・ソリューションとして、デジタルツインの作成と、製品ライフサイクル全体を通じた機器設計の最適化を可能にします。

B Medical Systemsはどのように開発およびテスト時間を短縮したか

医療用冷凍庫のグローバル・メーカーであるB Medical Systemsは、研究、開発、テスト段階を通じて製品品質やエンジニアリング時間の最適化におけるさまざまな課題に直面していました。同社は、一部の部品のリードタイムが長くなるために、プロジェクト全体のスケジュールが影響を受ける事態を改善する必要がありました。さらに、開発、テスト、品質保証のためのリソース計画にかなりのエンジニアリング時間が奪われていたため、効率的なプロセスを導入して、品質を損なわずに高い基準を維持したいとも考えていました。

そこで重要な役割を果たしたのがSimcenter Amesimです。このツールの高度なデジタル・シミュレーションによって、ワクチンのような温度管理の難しい製品の保存期間を延長し、冷凍設計を最適化して製品を保護することができました。すべてのエンジニアがシミュレーション・ツールにアクセスできるようになったことで、開発とテストの時間が最大80%も短縮し、コラボレーションと知識移転も改善しています。この堅牢なシステムのおかげで、エンジニアは広範な仮想テストを実施し、サプライチェーンの制約があるなかでも最適なコンポーネントを選択することができました。ユーザー事例の全文はこちらからお読みいただけます。

医療機器開発の明るい未来

医療機器開発にシミュレーションとデジタルツインを取り入れることで、コスト削減や設計精度の向上、市場投入期間の短縮につながります。競争力を維持し、優れた患者転帰を達成するために、この革新的なソリューションの採用は不可欠です。シーメンスは、シミュレーション技術の発展に力を入れており、各企業が業界の進化に関与するだけでなく、リードできるように支援しています。シミュレーションは、可能性を無限に広げ、変革をもたらし、医療機器開発の明るい未来への道を切り開きます。

デジタル・シミュレーションについての詳細は、ホワイトペーパー「デジタル・エビデンスの生成: シミュレーション駆動型の医療機器設計」をご覧ください。

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