Zel Xとは何ですか?
シーメンスのWebベースのアプリケーションであるZel Xは、中小規模のジョブショップのコラボレーション、設計、製造、オペレーションのすべてを統合します。Zel Xを使用すると、製造現場全体のジョブの追跡、見積りの管理、CAD/CAMの処理、部門間のコラボレーションが可能です。まさに、部品やコンポーネントを製造しているマシンショップ向けのオールインワン・ソリューションです。
Zel Xは、オペレーションのデジタル化を推進し、Excel、CAD、CAMなど相互連携機能を持たないアプリケーションによるデータサイロを解消しようとしているメーカーのためのソリューションです。シミュレーションのような高機能を備えた統合ワークフローを体験すると、なぜもっと早く試さなかったのかと疑問に思うでしょう。
シーメンスは、エンジニアリング・ソフトウェアの世界的なリーダーです。NX、Solid Edge、Teamcenter、Simcenterなどのアプリケーションを開発してきた経験とそのノウハウをジョブショップに提供します。シーメンスの豊富な技術の結集ともいえるZel Xは、Webベースのインターフェイスに統合されており、ビジネスの進め方を素早く変えていきます。
Zel Xのしくみ
RFQ (見積依頼書) を受け取ってから見積書を作成する手順は一般的に、まず部品やコンポーネントの検査から始まり、材料費と機械費の算出、CAM予備評価、納期の確認を経て、見積書を入力し、PDF形式の要約を添付して提出という流れです。見積もり作業はそれだけでかなりの工数を必要とする作業です。見積もり作業は複数の担当者による共同作業になることも多く、作業ファイルは、社内サーバー上のいくつものフォルダを行き来します。その過程で不規則なやり取りが繰り返され、各部門による見積もり完了までに時間がかかります。
Zel Xを使用すると、関連するすべてのファイル、マークアップ、コメントが1つにまとまるため、容易に追跡できます。ファイルを置き忘れることも、やり直しが発生することもありません。ビジネス全体の透明性が保証され、RFQを適切に処理し、ビジネス獲得にいち早く近づくことができるでしょう。これにより、社内の頭痛の種が軽減されるだけでなく、クラス最高のサービスを顧客に提供できます。すべてのやり取りがZel X内に記録されるため、メールを別の担当者に転送するよう手配する必要はもうありません。
Zel Xの基本機能
Zel Xは、単なるショップ管理ソフトウェアにとどまりません。Zel Xには、オペレーション、コラボレーション、設計、製造のすべてを網羅する高度な機能が組み込まれています。いずれの機能も適切に設定されており、必要なときに必要なツールに素早くアクセスできます。
オペレーション
見積もり依頼 (RFQ) の処理から部品の配送まで、ジョブを整理して追跡します。つまり、金型の準備から検査まで、統合カンバン機能を通じてジョブショップの作業を計画し、進捗状況を顧客と直接共有できます。そのほかの操作機能:
- 見積もりの追跡
- デジタルトラベラー/製造現場の追跡
- 顧客RFQの処理
- 委託先やサプライヤーのRFQ管理
- ブラウザ経由でZel Xにアクセス
- ブラウザ経由でアクセスできるため、モバイルアシスト検査など、さまざまな機能を利用できます。
コラボレーション
権限ベースのプロジェクト/ファイル共有システムにより、部品製造のあらゆる段階で適切な担当者が確実に作業に参画できるようにします。無制限のゲストアクセスにより、携帯電話、タブレット、コンピューターからフィードバックを送るなど、プロ仕様の顧客体験を提供します。そのほかのコラボレーション機能には次のものがあります。
- 権限ベースのファイル共有
- タスク管理
- モバイル端末からCADデータをレビュー
- 携帯電話/タブレットから拡張現実 (AR) でCADデータを表示
- モバイル端末から複数のファイルタイプ (PDF、XLSX、画像など) をレビュー
設計
Zel Xの心臓部ともいえるのが強力なブラウザー内エディターです。これを使用して、部品をいちから設計またはモデル化したり、顧客から送られてきたファイルを編集したりします。マークアップや寸法の追加や製造用部品の編集も可能です。そのほかの設計機能には次のものがあります。
- 事前設定された形状を収録したシェイプ・ライブラリですぐに作業を開始可能
- 迅速な直接編集
- アセンブリ・モックアップ用のマルチボディ・モデル
- CD (Critical Dimension) 図面の自動処理
- Creo、Inventor、Solidworksなどからファイルをインポート
製造
部品を正確に見積もるためには、その部品をどのように製造するかを理解しなければなりません。Zel Xは2.5軸CAMが統合されており、見積もり作業中に誰でもZel X内で初期Gコードを生成できます。CAMエンジニアの作業を待つ時間は必要ありません。
- 見積もり作業にCAMを活用
- CNCツールパス生成作業にCAMを活用
- モバイル検査で初回製品を検証
- 色分けされた構文で数値制御 (NC) コードを編集
- 製造手法をテンプレートにまとめて標準化
Zel Xにはどれくらいのコストがかかりますか?
ジョブショップと部品メーカーの皆様に選んでいただけるようにZel Xの価格と提供モデルを設定しました。Zel Xには無制限のゲストアクセスが含まれているため、チーム、顧客、サプライヤーが携帯電話や、タブレット、コンピューターからプロジェクトのデータを閲覧およびマークアップできます。Zel Xのサイトに機能比較表があります。
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よくある質問 (FAQ)
Zel Xはどの業界、あるいはどういったタイプのジョブショップに恩恵をもたらすツールですか?
Zel Xは、機械工場や工業用部品メーカーなど、製造生産プロセスが多岐にわたる中小規模のジョブショップに特に有益です。航空宇宙、自動車、産業機械など、高精度の部品を個別仕様で製造しなければならない業界をサポートします。こうした業界は、製造する部品が複雑であったり、ロットが小さかったりすることが多いため、CAD/CAM操作、ジョブ追跡、リアルタイムのコラボレーションなど、Zel Xに統合された機能に特に大きな価値があります。Zel X製品の比較
ジョブショップの既存のソフトウェア・システムとZel Xは統合できますか?
Zel Xは、NX、Solid Edge、SolidWorks、Inventor、Creoをはじめ、既存のCADツールとシームレスに統合します。既存のシステムからデータをインポートできるほか、使い慣れたツールを使い続けたまま、Zel Xの追加機能にもアクセスできます。Zel Xは、GコードやDXFプロファイルなど、さまざまなタイプのファイルのインポートとエクスポートが可能なため、ジョブショップは既存のシステムとの互換性を維持しながら、より統合された効率的なワークフローにアップグレードできます。Zel Xをストアで確認
Zel Xに移行するにあたり、どのような制限や課題が考えられますか?
Zel Xへの移行には初期調整が必要な場合がありますが、Zel Xプラットフォームはそうした難しさを最小限に抑えるように設計されています。インターフェースは直観的であり、またシーメンスが包括的なサポートを提供しているので、すぐにツールに慣れることができるでしょう。ブラウザ経由でアクセスできるため、ITに多額の投資をする必要はありません。既存のハードウェア上でZel Xを使用できます。さらにZel XはさまざまなCADツールとシームレスに統合できるため、移行中でも作業の中断が最小限で済みます。効率化、コラボレーションの強化、エラーの減少など、数々の利点があり、ジョブショップ全体の生産性と競争力が大幅に向上します。Zel Xのサポート

著者について
David Lyellは、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアにおいて、中小企業向けソリューションのマーケティング・マネージャーを務めています。これまでオートメーション、ジョブショップ、アディティブ・マニュファクチャリング、木工など、複数の産業で製造とマーケティングに携わってきました。