測定データの自動処理 - 反復作業の排除

測定データの処理についてお話しします。 反復作業は、時間とリソースを浪費するだけでなく、フラストレーションを生み、人為的ミスを発生しやすくします。集中力が低下すると、ミスが起こりやすくなるのは明らかです。結局のところ、今日では反復作業を好む人などいないでしょう。
1週間前に処理されたデータと最近測定されたデータの2つのデータセットを比較しているところを想像してみてください。残念ながら、最近測定されたデータは、思わしいものではありまん。具体的には、新しい制御方式になって、パワートレインから放出される騒音レベルが上がっています。これが確認された場合は、この騒音問題を調査し、場合によっては解決することが重要です。ただし、そのような状況で自分自身に問う一般的な質問があります。以前と同じ方法でデータを処理したのか?測定や処理中にミスはなかったか?実際の問題を解決する前に、まず上記の質問に答える必要があります。上記の質問に浪費する時間が少なければ少ないほど、より効率的に実際の問題を解決できます。

このブログでは、Simcenter Testlab Process Designerを使用してデータを処理する方法をご紹介します。まず、最初にe-パワートレインのデモ・テストベンチを紹介しましょう。
e-パワートレインのテストベンチ
e-パワートレインのテストベンチは、e-パワートレイン、インバーター、バッテリー、2つの負荷モーター、複数のセンサーを備えたe-ドライブで構成されています (下図参照)。

e-パワートレインのセンサーとして、ギアボックスに1台、インバーターに1台、電動モーターに8台の加速度計を使用しています。また、ギアボックスの近くにマイクを1台配置し、トルクセンサーとRPMセンサー、電流センサーと電圧センサーも追加で使用しています。
上の図では、2つのデータ収集システムが使用されていることがわかります。Simcenter SCADAS MobileはNVH関連データを収集し、電力解析装置は電圧と電流のデータを測定します。電力解析装置は、CANを介してSimcenter SCADAS Mobileに効率と電力のデータを提供します。この種のデータでは、低周波サンプリング・レートは問題ありません。
Simcenter Testlab Process Designerの概要
測定ごとに測定データを処理すると、時間がかかる場合があります。そこで、Simcenter Testlab Neo、特にシンプルかつグラフィカルな方法でメソッドを連鎖させることができるProcess Designerを使用することにしました。この例では、
- 音響データ、
- 加速度 (振動) データ、
- 電力効率データなど、さまざまな種類のデータを並列で処理しています (下図参照)。

このビデオでは、さまざまなプロセス・ブロックについて説明しています。
プロセス操作とデータ処理
このプロセスを作成するのは非常に簡単です。プロセスの枠内に必要なメソッドをドラッグ・アンド・ドロップするだけで、それらを連結することができます。以下の動画では、KPI (主要業績評価指標) 評価のためのオーダー・セクションと統計メソッドを追加しています。プロセスを作成したら、入力バスケットに測定データをロードし、処理を開始することができます。ピボット・テーブルを使用すると、数回クリックするだけで、スペクトル・マップ、オーダー・セクション、KPIなどのデータを視覚化できます。
データの比較
さて、ここまで反復作業について言及してきました。「そのとおりです」とおっしゃるかもしれませんが、今まではステップを一つ一つ準備しなければなりませんでした。なぜそんなことをしなければならないのか、これはかなり面倒な作業のように思えます。制御方式が異なる、ライブ・トレインのさまざまなバリエーションを測定しているところを想像してみてください。すべてのバリエーションの結果を比較したいと考えているとします。まさにここでSimcenter Process Designerが強みを発揮します。各プロセスを保存して再利用し、各測定をまったく同じ方法で評価することができます。しかし、これだけでなく、データを処理したら、わかりやすくシンプルな方法で視覚化したいと思うでしょう。これを下図に示します。

効率を可視化する場合、回転数 (RPM) に対するトルクが表示され、ここではモーターと発電機の効率ブロックが分離されています。このようなビューを作成する方法を以下に示します。
e-パワートレインの概要には、ディファレンシャル、インバーター、モーターの効率マップ、振動、騒音スペクトルが示されています。さらに、KPIも可視化されています。これらは、インバーターとe-パワートレイン、モーターとジェネレーター・モード、およびオーダーごとの最大騒音レベルの平均効率値です。

以下のビデオのように、異なる測定値間のクエリの切り替えは非常に簡単です。
そして最後に、スペクトログラム、KPIなどの形式でさまざまな戦略を比較することができます。下の画像では、制御シナリオの異なる2つの戦略を示しています。

効率レベルと騒音レベルは、数回のクリックで詳細に比較できます。
この結果では、戦略2 (Testprofil22) は戦略1 (Testprofil07) よりも効率的ですが、騒音も大きくなっています。

これで終わりですか?今の時点ではそうですが、騒音レベルの上昇が問題であるかどうか、そしてそれがどこから来ているのかを調査したい場合はどうでしょうか。
次に何ができるでしょうか?
- 心理音響分析 - 例: プロミネンス比、
- プロミネンス比のオーダーカット、
- オーディオのリプレイおよびフィルタリング、
- 重要な領域を特定するためのサウンド・カメラ、
- モーダル試験
- …
ご不明な点がございましたら、markus.brandstetter@siemens.com までお気軽にお問い合わせください。
このe-パワートレインのデータ収集にご興味をお持ちでしょうか。以下のブログをお読みください。
Simcenter Testlab Process Designerについて詳細を知りたいですか?