シーメンスのCapital EmbeddedでAUTOSARリリースR20-11をサポート
シーメンスのCapitalTM Embedded AR Classicソフトウェアで、AUTOSAR 標準のリリースR20-11がサポートされ、それ以降のリリースでOEM要件に対応した一部の拡張機能も使用可能になりました。有効なデータフローとともにAUTOSARなどの標準的なインターフェースをサポートする高度な構成ツールにより、システム設計とシステム要件を包括的なデジタル・エンジニアリング・フローの一部として組み込むことができます。
ソフトウェア・デファインド・ビークル
現在の自動車業界では、車両から得られる特定のエクスペリエンスにソフトウェアが大きな影響を与える「ソフトウェア・デファインド・ビークル」(SDV) という概念が採用されています。SDVでは、ソフトウェアを使用して車両のエクスペリエンスが構成され、車両に組み込まれたハードウェアによって高度な機能が実現します。車両の寿命全体にわたってソフトウェアがアップデートされるため、セキュリティを確保しながらエクスペリエンスを進化させていくことができます。サービス指向の通信機能を使用して、車両を完全に再設計することなく、各種機能の移行や追加を行うことができます。これは、AUTOSARの長期的なビジョンと一致しています。アプリケーション・ソフトウェアの開発作業は、そのソフトウェアの実行元となるハードウェアとは別個に抽出されるため、必要に応じてソフトウェアを再利用し、ハードウェアのアップグレードにかかる負荷を減らすことができます。
OEMがこの仕組みを実現するには、アプリケーション開発のベースとなる柔軟性の高い最新のソフトウェアと、上流工程で使用される設計ツールのデータを再利用するためのデジタル継続性が用意されたソフトウェア開発環境が必要になります。この方法で自動化を促進することにより、手作業でのエラーを減らして作業時間を短縮しながら、製品の品質を向上させることができます。最新の継続的インテグレーション/継続的デプロイメント (CI/CD) 手法では、ソフトウェアのライフサイクル全体にわたり、仮想的な検証手法と自動的な検証手法を活用して、堅牢なアップデートをコスト効率の高い方法でスケジュール通りに提供します。現在は、自動化と仮想検証機能によって手動プロセスを最小限に抑える「ソフトウェア・ファクトリー」という手法を採用するOEMや大規模なTier1サプライヤーが増えています。
シーメンスのCapital Embedded AR Classicソフトウェアの新機能
Capital Embeddedは、AUTOSAR 4.xリリースをベースとして開発されたCapital VSTARの旧バージョンをアップデートした製品です。AUTOSARリリースR20-11によって最新の状態に更新され、お客様のニーズを超える拡張機能が導入されています。
シーメンスが提供する強力な既存のゲートウェイとCOMスタック機能に基づいて開発された車載イーサネットは、IEEE-SA 10Base-T1Sのサポート、DoIP (Diagnostics over IP) の拡張機能、SOME/IPの継続的なサポートによって拡張されます。これらすべてにより、イーサネットベースの混合テクノロジー・アーキテクチャのサポートが拡張されます。
FOTA (Firmware over the Air) 機能は、シーメンスのCapital Embedded Bootloaderソフトウェアでもサポートされています。これにより、将来的にSDV機能のサポートが拡張されます。BSWマルチコア・ディストリビューション機能により、シーメンスが提供するマルチコア・チップセットの高度なサポートがさらに高度なものになります。このサポートは、異なる要件を持つさまざまな機能をホストするための強力なECUで利用されています (こうしたECUは増え続けています)。
また、サイバー・セキュリティの分野においても、IDSM (Intrusion Detection System Manager: 侵入検知システム・マネージャ)、IPsec、TLS (トランスポート・レイヤ・セキュリティ: Transport Layer Security) などのアップデートや機能拡張が行われています。これは、ISO 26262 ASIL Dまでを対象とした機能安全性に対する既存のサポートとともに、ドメイン・コントローラや電動ECU、従来のパワートレインやドライブトレイン、その他の強力なECUで導入が増えている要求の厳しいアプリケーションに対するCapital Embeddedの適合性に基づいています。その一方で、それほど複雑ではないECUの場合は、引き続き効率的なソリューションが提供されています。

開発担当者を第一に考えたツール
シーメンスのCapital Embedded Integrator AR Classicソフトウェアの特長は、サポート性の高いユーザー・インターフェースです。面倒な作業を自動化し、一貫性チェック機能を使用して品質を確保することができます。開発担当者は、変更が必要な箇所を特定して正しい結果を得ることができます。シーメンスのCapital Embedded Virtualizer AR Classicソフトウェアは、このユーザー・インターフェースをベースに開発されています。このソフトウェアにより、開発者担当者のパソコンにインストールされているAUTOSARベース・ソフトウェアの仮想検証処理がさらに自動化されます。コストのかかる物理的な検証装置を使用する必要はありません。ALMツール、プラグイン、構成管理用ツールへの接続などに関する要件のリンクや、標準化された各種の交換形式と独自の交換形式の切り替えを行うこともできます。このソフトウェアにとって不可欠な機能は、CI/CDワークフローのサポート機能です。多くのお客様が、この機能を活用しています。
包括的なソリューション
上記の結果として実現したのが、OEMやTier1サプライヤーのSDVプラットフォームと最新の自動車ソフトウェア・ファクトリー向けに構築されたソフトウェア・プラットフォームと開発ツールです。今後のニーズに合わせてシーメンスのCapital Embeddedソリューションを拡張するための定期的なアップデートも提供されます。シーメンスがAUTOSAR R20-11で初めてサポートするシリコンは、MCUのInfineon Aurix TC4xファミリです。近日中に、サポート対象が追加される予定です。
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- 製品ページ: Capital Embedded AR Classic
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