簡単かつ迅速に強度と耐久性に関する洞察を得る
耐久性能は、今後も非常に基本的な製品とブランドの価値に関連する、最も重要な設計基準の1つです。このブログ記事では、試験とシミュレーションの組み合わせが、製品の耐久性能を最適化、検証するための最良の方法である理由を説明します。また、エンジニアリング・チームが段階的な専用のポスト処理アプローチを使用して、シミュレーションから耐久性に関する最大限の洞察を得るために、Simcenter 3D Specialist Durabilityがどのように役立つかについても説明します。
費用がかかる耐久性試験
耐久性試験には、高価なハードウェア・リソースが必要であり、非常に労働集約的です。また、一般的に工期の終盤や、多額の費用がかかるときに行われます。例えば、企業において製品のサインオフが近づくと、十分に検討されていない試験は、リリースに劇的な結果をもたらす可能性があります。また、製造中にサンプルの耐久性試験が必要な場合、効率的なシナリオを用意することが非常に重要です。
複雑な構造物の耐久性に関する洞察
これは、動作寿命中に膨大かつ多様な負荷状況 (デューティサイクル) の発生が予想される、自動車などの複雑な構造物に確実に当てはまります。これらすべてのシナリオを盲目的に試験すると、複雑になるばかりか、非常にコストがかかり、延々と時間もかかることになります。また、ほとんどの作業が役に立ちません。システム全体にかかる負荷を解析しても、各コンポーネントに与える影響については何も分かりません。
そのため、耐久性に関する洞察を事前に得ることが重要です。シミュレーションを使用することで、ローカル解析のシナリオを設定し、どの負荷イベントがどの位置で重要であるかを検出できます。その結果、負荷が引き起こす具体的な問題とその原因を理解できます。このようにシミュレーションを使用してアドバイスを提供することで、試験チームは、より的を絞った試験シナリオを適用して効率を大幅に向上させることができます。もちろん、これらの耐久性シミュレーションの結果をすぐに使用して、構造を調整して設計を改善することもできます。
耐久性試験とシミュレーションに関する専門知識の独自の組み合わせ
シーメンスでは、試験とシミュレーションを組み合わせて相乗効果を実現する方法を誰よりも理解しており、Simcenterのように、両方の領域を組み合わせた市場で唯一のプラットフォームを提供しています。そのため、試験チームが対処すべきあらゆる課題を把握し、それらに対応することができます。
当社のCAEソリューションSimcenter 3D Specialist Durabilityは、現実的な負荷条件を考慮して、疲労寿命予測解析を素早く正確に実行できる最先端の疲労解析方法をエンジニアに提供します。さらに、このソフトウェアには、明確なワークフローを通じて、特に最も重要な質問に対する回答を迅速に提供することを目的とした、一連のポスト処理機能が含まれています。これは、「いつ損傷が発生するのか?」、「どのイベントで発生するのか?」、「どこで損傷が発生するのか?」、「その原因は何か?」などの質問に対応します。
段階的なポスト処理を通じて耐久性に関する洞察を提供
当然のことですが、シミュレーション後に最初に行うことは、結果が意味のあるものかどうかを確認することです。耐久性シミュレーション解析ケースを設定して実行した後、エンジニアは結果テーブルですべての結果の包括的な概要にアクセスできます。例えば、誤った単位系を使用しているなど、明らかな設定ミスがあれば、ここに表示されます。
解析に問題がないことを確認した後、さらにポスト処理を開始します。通常、図1のステップに従うことで、耐久性に関する洞察を最も効果的に得ることができます。Simcenter 3D Durability Specialistには、各ステップで固有のツールがあります。

第1段階: イベントの分析
多くの場合、耐久性解析は、起こり得る大量の負荷イベント (デューティサイクル) で構成されています。そのため、実際に疲労の問題を引き起こしているイベントを正確に特定することが、困難な場合があります。特に、手動でクリックして特定することは、ほぼ不可能です。そのため、Simcenter 3D Durability Specialistには、各イベントの寄与を解析する専用のツールが用意されています。これは、重要な位置、ユーザー定義の位置、コンポーネントまたはコンポーネントのグループのいずれかです。この寄与は、損傷、耐用期間、応力振幅、安全率など、可能性のあるすべての耐久性結果に対して処理できます。

このように、Simcenter 3D Specialist Durabilityを使用することで、エンジニアは、どのイベントがどこに損傷を与えるかを迅速に把握し、さらに解析を進めることができます。
第2段階: コンポーネントの分析
次のステップでは、この情報を使用して、イベントレベルで任意の結果タイプをポスト処理します。これは、応力、ひずみ、温度、静的破壊などの強度解析結果の取得から、詳細な寿命解析や損傷解析まで、膨大な数のポスト処理作業に及びます。これらの機能はすべて、Simcenter 3D Durability Specialistポストプロセッサーに搭載されています。これらにより、エンジニアは重要な領域をより迅速に検出できます。

第3段階: 局所的耐久性に関する洞察
最後に、破壊の背後にあるメカニズムを理解することが重要です。なぜ損傷が起きるのでしょうか。深く理解するために、エンジニアは重要な領域をより詳細に解析できます。その良い例としてターボ機械が挙げられます。エンジニアは高応力と高温が同時に発生するかを早期に理解する必要があります。そのために、エンジニアは異なるパラメータ間の関係を示し、局所的挙動を深く理解するのに役立つ、いわゆるピーナッツプロットについて検討します。Simcenter 3D Specialist Durabilityを使用することで、エンジニアは任意の位置 (ノード、エレメント、方向) に対してこのようなプロットを作成できます。これには、弾性/塑性応力/ひずみ、温度、損傷などのデータタイプを含めることができます。

耐久性に関する洞察を簡単に得ることができる、Simcenter 3D Specialist Durabilityの興味深いプロットの他の例を以下に示します。


まとめ
Simcenter3D Specialist Durabilityシミュレーション・ソリューションには、エンジニアが耐久性に関する深い洞察を得るために必要なあらゆるポスト処理ツールが含まれています。段階的なアプローチに従うことで、以下に示す重要な質問に対する回答を簡単に見つけることができます。
- 最終的に強度や耐久性の問題が発生するのは、どのようなイベントのときか?
- それはどこで発生するのか?
- 破壊の背後には、どのようなメカニズムがあるのか?
エンジニアリング・チームは、以下により時間とコストを大幅に節約できます。
- 「試験の必要」がないコンポーネントに費やす試験時間を回避
- 効率的な試験シナリオをより適切に定義
- 耐久性能を向上させる構造の改善に必要な洞察を提供
Simcenter 3D 2022.1では、耐久性のある製品の設計に役立つ、これらのポスト処理機能をすべて利用できます。